「違うじゃん!教えてくれたのは俺がまだ…あー、間違えた!!」



 綿名(わたな)が何を言っていて、何に対して焦っているのかよく分からず、私が目を白黒させていると、綿名はベロをちょっと出して、眉を下げ、いたずらっ子のような顔をした。



 「やっちゃった。こうなったら話すしかないかなぁ」



 話すって…一体何を?どういうこと?



 綿名の言葉の意味が分からず、困惑しながら綿名を見つめる。



 その時、綿名のフワフワした髪にちょうど太陽の光が当たって、白く輝いたように見えた。



 あれ、この白くてフワフワした感じ、私どこかで見たことある気がする。



 でも、どこだっけ…



 綿名が私に2、3歩近づき、口の横に手を当てて、小さな声で話し出した。



 「あのね、日乃、実はね」



 今までで1番近くに綿名が来て、初めて綿名の匂いがした。



 その匂いは、白くてフワフワした、わたあめのような匂いだった。