その豹変ぶりに思わず大きな声を出してしまった。やめろ、俺をそんな目で見るな。
咲坂は、違ったんじゃなかったのか?
ほかの女子とは違ったんじゃ……。
「咲坂、お前……」
「何よぉ。助けてくれてありがとうって言ってるじゃない。あんなに女子に冷たいって言われている伊織くんが私と仲良くしているせいでこうなったのよ?これくらいいいじゃない」
「や、めろっ!」
抱きしめたまま、俺の胸の中に顔を埋めようとする。だけどその前に俺はなんとか咲坂を引き剥がした。
俺が空音以外の女子と抱きしめるなんて俺自身が許さない。
自分で女子と関わらないと決めたのに油断した。
咲坂は……とんでもないやつだ。
「私、ずっと伊織くんのことが好きだったんだぁ。なのに……伊織くんはあの幼なじみとしか関わらないじゃない。なんでこんな可愛い私があんな子に負けるの?伊織くん、大丈夫!?」
何が起こってるのか分からない状況の中、咲坂そんなふうに叫んだ。