「橘くん!来るの早いねー。まだ来てないと思ってた。遅くなってごめんね?」



冷たい態度をとったのに普通に話しかける咲坂。正直俺は驚いた。女子ってみんな同じだと思ってた。……空音以外は。



「……別に」



その日は特に何もなかったがそれからというもの、咲坂は俺に話しかける。相変わらず素っ気ない返事をしていたけどめげずに話しかける咲坂は少し変だと思った。


そんな咲坂に徐々に心を許していき、掃除当番になれば少し会話をする程度まで仲良くなった。


そんなある日の放課後。


委員会で先生に用事があり、帰りが遅くなってしまった。


空音を待たせているので足早に廊下を歩いていた。


その時。


ードンッ!



「あんた、何うちの学校の“王子様”と仲良くなってんのよ!ちょっと可愛いからってチョーシに乗るなよ!」


「……きゃ!」



廊下に鈍い音が響いた後、女子の悲鳴のようなものと怒鳴るような声が聞こえた。