「はい、じゃあ掃除当番このペアで1年よろしくー。これで今日は解散」



美化委員で掃除当番があるのは知っていた。


ペアでやることも知っていた。クラスで美化委員をやるのはひとりだし、ほかのクラスとペアになるのは重々承知。


男子とペアになるのだろうと思ってきたが……まさかのくじ引き。


それが運悪く、男子に人気と噂の咲坂とペアになってしまった。



「よ、よろしくね。橘くん」


「…………」



にっこり微笑んだ咲坂。


それは俺が苦手な部類に入る女子だった。だからその日は無視してそそくさと帰った。


ほかのペアは自己紹介したり話をして盛り上がってるのに咲坂だけを残して。


こうすればみんな俺から離れていったからちょうどいい。それに……空音が待っていたから、俺は咲坂なんて眼中にはなかった。


……なのに。


数日後の掃除当番。


めんどくさいと思っていたので早く終わらせようと準備を進めた。