階段を駆け上がって2階の一番奥の湊の部屋をノックする。


「湊、朝だよ。もう支度終わった?」


………。


だめだな。これは。

そう思ってドアを開けると、案の定そこには布団にくるまっているヤツの姿があった。


「湊、早く起きて」


………。


無言の返事が返ってきてうんざりしていると、



ガシッ


「ぎゃっ…!?」


湊に腕を掴まれて、いとも簡単に上から覆い被されられてしまった。


「あは、はーちゃんだ。おはよ〜」

「えっ…ちょっ……!」


距離!距離が近い!


サラサラの黒髪も、私よりも長いまつげも、吸い込まれそうな黒の瞳も、何もかも。

そのまま3秒くらい、見つめ合ってて。


「ふっ」

「…はい?」


私の視界からいなくなったと思ったら、突然笑われて。


「『ぎゃあ』だって。おもしろすぎ、あはは」

「………」


馬鹿にされてた!それに起きてるし!

怒りでわなわなと震えていると


「ねぇはーちゃん、ずっと突っ立ってるけど俺の裸見たいの?へんたい」


なんて、さらりと言われてしまって。


「出ます!今すぐ部屋から出るから!…それに着替えるなら先に言ってよぉ!」


こんな幼馴染に振り回されてる毎日、結構しんどい。



しかも、たまに出るあの色気も凄すぎてしんどい。