病院には来週に行こう。

今週木曜にはそーちゃんはサーキットに行くし、私も金曜に行く。

来週になれば少しはゆっくり出来るだろうから。



…望んでいた事なのに。

少し気分が重い。



睦海と手を繋ぎながら歩いていると。

「ママ、赤ちゃんは?」



ドキッ!!



「赤ちゃん?」

睦海は私のお腹に手を当てた。

「うん。赤ちゃん」

睦海はニコニコ笑っていて。

「いるんでしょ?」

睦海の、無邪気な笑顔がたまらなく可愛くて。

立ち止まった。

「赤ちゃんに会いたい」

私のジーンズをギュッ、と握りしめて見つめるその眼差し。

「じゃあ、今度一緒に病院に行ってくれる?」

私は微笑むと睦海は手を叩いて喜ぶ。

「パパも一緒に!!」

「え、パパは忙しいから…」

「イヤ」

睦海はそう言うと一人、パタパタと歩きはじめる。

「むっちゃん、待ってよ!」

私が追いかけると

「イヤー!!」

ケタケタ笑いながら睦海は全力疾走した。