「あいつを引き取って、今年で22年になるけど」

表彰式の間。

私は賢司さんの話を聞いた。

「あいつがここまで成長してくれたのは本当にうれしいよ」

目を細めて、表彰台に立つそーちゃんを見つめている。

「最初、お店とチームを立ち上げた時は、どうなるかハラハラしていたよ。
そーもまだ、小さかったし。
ライダーを育てると言ったけど、途中でどうなるかと思った。
何度も解散の危機があったけど、そーがいてくれたからここまで来れたんだよ」

賢司さんは私を見て微笑んだ。

「そーと力を合わせて、このお店とチームをもっと有名にして欲しい。
俺の勝手な考えだけどね」

そう言う賢司さんに首を横に振った。

「私も…いつか、みんながここに所属したい、と言ってくれるチームになって欲しいって思います」

「ありがとう…」

賢司さんは私の頭を撫でた。



その手の温もりがとても温かくて、幸せだった。