最後の最後まで、1位2位争いは過酷だった。



今年はどうやら。

そーちゃんにレースの女神様は微笑んでいるらしくて。

ちょっとの差でそーちゃんが優勝した。

ホッとした様子でシールドを上げる。

一方池田さんは握りこぶしを作って悔しがっていた。



2連勝。



「信じられないな」

賢司さんは目を輝かせて喜んでいた。

「そー、本当に凄くなったなあ…」

その呟きが。

私の胸に突き刺さる。

苦しくて、たまらない。



やがてウイニングランを終えたそーちゃんが戻って来て。

真っ先にそーちゃんが抱きついたのは賢司さんだった。

「そー、興奮したよ。ありがとう」

賢司さんがそーちゃんの背中を叩くとそーちゃんも黙って頷く。

周りも思わず涙ぐんでいた。