「じーちゃん、ママ泣かせたらイヤー!!」

その様子を見ていた睦海が賢司さんに怒る。

「ママが勝手に泣いちゃったの。
おじいちゃんは悪くないのよ」

私は涙を拭きながら目線を睦海に合わせてしゃがみ込んだ。

「ママ、泣き虫」

睦海のその言葉に思わず賢司さんが吹き出した。

「最近は言うようになったねー」

そう言って目を細める。



コンコン。

突然、ドアをノックする音が聞こえて。

振り返るとそーちゃんが入ってきた。

「なんだ、来てたんだ」

私達を見てニコッ、と笑った。

そーちゃんも賢司さんが心配で、所用のついでに寄ったらしい。

「パパー!!」

睦海がそーちゃんの足元に抱き着いた。

「はいはい、睦海も来てたのか」

そーちゃんは睦海を抱き上げる。

最近、睦海を抱くのはちょっと大変。

今年の9月で3歳になるし。

そーちゃんは軽々と抱き上げてしまうので、最近は専ら、そーちゃんが睦海を抱く。

「帰りは送るよ」

そーちゃんは優しく笑う。

私も笑って頷いた。