「もう、そーちゃん!」

捕まえようとしたけれど。

逃げられた。

「自分の奥さんがこんな格好して、嫌じゃないのかー!?」

「大丈夫、俺は他の人が知らない真由を知っているから」

ニヤリ、とそーちゃんは笑った。

私の顔が赤くなる。

それを見ていた賢司さんや周りのスタッフの方々が大爆笑していた。

「そーちゃん!!」

私は必死に追いかけたけど。

逆にそーちゃんに構えられていて…

そのままギュッと抱きしめられる。

「こんな所で走ったら…、つまづくよ」

耳元でそう囁かれた。



…結婚して2年3ヶ月。

今だにこういう事にドキドキする私がいる。

たまに起こる、こういうシチュエーションに弱い。



顔をゆっくり上げるとそーちゃんは優しく私を見つめていた。



「…来年くらいに1人、家族が増えているかなー」

賢司さんは穏やかに笑いながらそう言って私達の横を通っていった。