「…買い物でもする?」

そーちゃんの声でふと、我に返った。

そっと、目に溜まった涙を拭いて振り向く。

「うん、する」

私は笑ってみせたけど。

やっぱり涙が溢れてきて。

「…ごめん」

そう言って俯いた。



…悲しくて仕方がない。



「パパ!!」

後部席のチャイルドシートに睦海は座っているけど…

振り向くとすごい形相でそーちゃんを睨んでいる。

「ママを泣かせたらダメ!!」

「はいはい、ごめんなさいー」

軽くあしらうそーちゃんに睦海は激しく怒り始めて、車の中は睦海の叫び声が響く。

「パパのばかぁ!!」

「馬鹿って何?」

そーちゃんが段々イラついてくるのがわかる。

「睦海!!」

私は後ろにグッ、と体を向けて

「パパは悪くないの。
ママがおじいちゃんの事で悲しくなって泣いただけだから」

ようやく、睦海は大人しくなった。

「最近、反抗するというか…
口が立つようになったよね」

ため息まじりのそーちゃんに思わず笑ってしまった。