翌日。

お店が定休日だったので三人で賢司さんのお見舞いに行った。

「…いらっしゃい」

賢司さんは微笑むけど。

弱々しくて、起き上がる事も出来ない。

「ゆっくり、寝ていてください」

そーちゃんは優しく微笑んで賢司さんを見つめた。

賢司さんも頷く。

「じーちゃん」

睦海が賢司さんの顔を見たがるのでそーちゃんが抱く。

「いたい?」

睦海が首を傾げると、賢司さんは微笑んで

「大丈夫だよ…」

手をそっと伸ばし、睦海の頭を撫でた。



「あれ、みんな来てたの?」

彩子さんが病室に入ってきた。

「はい、今日くらいしか来れないと思って」

そーちゃんは睦海を抱きながら彩子さんと話をする。



「真由ちゃん…」

賢司さんの呼ぶ声で私は振り返る。

「お腹の子供達は順調?」

「…はい、今は順調です。
三つ子なんで、みんな体重は軽いらしいですけど」

「そう…
無事に生まれてきて欲しいな…」

遠くを見つめる賢司さん。



胸が痛い。



この子達が生まれる頃には。

もう、賢司さんはいない。



「では、また来ます」

そーちゃんのその言葉と共に私達は病院を後にした。