「そーも、祥太郎もチャンピオン取って欲しいな。
…この目で見る事が出来たらいいけど」



その言葉が。

堪らなかった。



「…真由ちゃん、泣かないでよ」

賢司さんは俯いて泣く私の頭を撫でた。

「人はいつか死ぬ。
それが早いか遅いかだけで。
…あっちには拓海もいる事だし、寂しくなんてないだろうから」





拓海くん。

どうかせめて。

最終戦までは。

迎えに来るのを待って欲しい。



そーちゃんが引退するその時を。

賢司さんには見てもらいたいの。



病院を出た私は晴れ渡った空を見上げて、祈った。