池田君は腕から視線を上げ、わたしを見ると口を開いた。



「……別に見捨てる気はないよ。教えるって言ったのは俺だし、最後まで責任は待つつもり。それに、中途半端は嫌いだから」



と腕を掴むわたしの手を退かすと、チョコレート特集の雑誌に視線を向けた。


中途半端は嫌い…


うん、池田君っぽい。


わたしはすぐになんでも投げやりになるから、池田君のそういうところ尊敬しちゃうな。


尊敬の眼差しを向けていると、「続きやるよ」と再びスパルタな池田君が現れたことは言うまでもない。


次の日、登校するなりすぐに机にうつ伏せになる。


…眠い…もうこのまま全然眠れる…


昨夜、遅くまでチョコ作りに専念していたこともあり、今日はかなりの寝不足気味。


頭も体も重くて授業どころじゃない。



「おはよ、ゆに」



真留君の声に少しだけ頭を上げ、「おはよ〜」と返事をする。



「クマが出来てる…寝不足?」