「大丈夫ですよ。二度と会えないと思っていた娘が、こんな素敵な婚約者を連れて戻って来たんですものっ! 父も母も絶対絶対喜びます。わたしもすっごく嬉しいです。本当に本当に嬉しいです」


 結局、アーシュラ様には全部お見通しだったらしい。全然、格好つけさせてくれない。

 けれど、本当に楽しそうな、嬉しそうな表情で笑うから、自分の緊張や体面なんてどうでも良くなってしまう。触れたくて、思わず頬に唇を寄せると、アーシュラ様は「唇が良いです」と言って俺の首に手を回した。

 チュッと音を立てて唇が触れ合う。無我夢中で俺を求めるアーシュラ様に、底知れぬ幸福感が込み上げてくる。
 柔らかなシルバーピンクの髪の毛も、宝石のように美しい瞳も、柔らかなこの唇も、全部全部俺のものだ。俺だけが触れることを許されている。


「ローラン様」

「ん?」


 アーシュラ様は頬を真っ赤に染め、切なげに俺のことを呼んだ。恥ずかしそうに、俺の胸に顔を埋め、猫のようにスリスリと擦り寄る。本当に愛しくて堪らない。一生大切にしようと心に誓う。

 だけど、次にアーシュラ様から飛び出したのは、全く思いもよらない言葉だった。