ほんとは夫を問い詰め、責めた方が良かったのだろうか。
浮気は辞めて欲しい。
暴力は辞めて欲しいと。 
 
 いつかまた元の優しい尚哉に戻ってくれるかもしれない……。
そんな期待を持ってしまう私は、悔しいけれどまだこの人に未練があるのだろう。
そのうち収まる所に収まるのではないかという甘い期待から、尚哉のことを問い詰め、責めることを躊躇したのだと思う。
それと……暴力への恐怖があった。

 もし……夫から『離婚してくれ』と言われたら、私は受け入れられたのだろうか……。

もし……夫が女と駆け落ちでもしてくれたら、いっそ諦めるがついたのか……。