「気になるなら会いに行けばいいんじゃない?」
教室へ戻り、里菜ちゃんに事情を説明するとそんな言葉が返ってきた。
「本人に直接どうしたのって?それに、もしかしたら休みって可能性もあるかもしれないでしょ」
(そっか、お休みの可能性もあるのか。)
そんな単純なことにすら気づけなかった。
「私も一緒に行きたいんだけど、次の休み時間にノート提出しないとダメなんだよね」
《大丈夫!一人で行ってみるよ。ありがとう里菜ちゃん》
そして、5限の授業を終えたあと、私はやや駆け足気味でA棟へと向かった。
10分しかないから早く織田くんを見つけないと。
というか、1組は次何の授業なんだろう。
場合によっては教室にいない可能性もある。
そんな不安を抱えながら歩いていると、廊下に見知った二人組を発見した。
(あれってミヤくんと幸太郎くんだよね?)
二人は窓の外を見ながら楽しそうに会話をしている。
けれど、そこに織田くんの姿はない。
織田くんのことを知りたいなら、二人に聞くのが一番だろう。
だけど、そのためには自分から話しかけないといけない。