4限の授業を終えて、いつも通り里菜ちゃんと昼食を食べる。
いつもならすぐにお弁当箱をしまって保健室へと向かうのだが、今日は足が鉛のように重たい。
それはさっき友達と楽しそうに過ごす織田くんの姿を見たから。
(女の子達と楽しそうに話してたな……)
織田くんに友達がたくさんいることなんて、随分と前からわかりきっていたことだ。
それなのに胸がザワザワするのは、この気持ちが恋だと自覚したからだろうか。
(……あ、そろそろ行かなきゃ。織田くんを待たせちゃう)
私は里菜ちゃんに『行ってくるね』と手を振り、保健室へと向かった。
「狩野ちゃんおはよー!」
保健室に到着すると、織田くんはいつもと同じように声をかけてくれる。
それだけで、泣きたくなるぐらい嬉しい。
そっか私、不安だったんだ。
いつもと違う織田くんを見て。
急に遠い人のように感じて。
そんな私に織田くんは、
「そういえば狩野ちゃん、さっき1組の前通った?」と口にした。
(……き、気づいてたんだ)
《うん。パソコン室に向かう途中だったから一瞬だけど》