《織田くんはどうして毎日、保健室に来るの?》
それは、ずっと気になっていたけど聞けなかったこと。
どうして今になってこんなのことを聞いたのか。
この時はよくわからなかったけど、急に織田くんがここへ来る理由を知りたくなった。
「え、嫌やった?」
《嫌じゃない!》
「良かった。嫌われてんのかと思った」
《ごめんね。突然、変な質問して》
私がそう書くと織田くんは「ええよ。何でも聞いてって言うたん俺やん」と笑う。
「俺が保健室に来る理由かー。そんなん狩野ちゃんと話すために決まってるやん」
《私と話すため?》
「うん、狩野ちゃんと話すんが楽しいからここに来るねん」
そんなことを言われたのは初めてだ。
会話といっても、私は一回一回流れを止めてしまう。
関西の人は会話のテンポを大切にするんじゃないの?
私と違って織田くんは他にも楽しく話せる相手がいるはず。
《でも、私はすぐに言葉を返せないし、面白いことも言えない》
「狩野ちゃん俺の話をいつも楽しそうに聞いてくれるやん?それが嬉しいねん」
「それにメモに書いてくれる言葉を待つのも楽しみひとつやし。まぁ、面白さは……どうやろな?」
織田くんはそう言うと、おどけて笑ってみせた。