「真知」



無意識に溢れてしまった涙をどうすることも出来なくて、俯いたまま名前を呼ばれて肩が震えた。

あの眼で睨まれたくない。
ああ、涙が止まらない。こんな顔、見せらんないわ。

なんであたしはこんなに弱くなったんだろう。



「あぁ、くそっ!真知、俺様が呼んでんだ。顔上げるなり、返事するなりしやがれ!」

「ご、ごめん!」



声を出して謝ったものの顔は俯いたまま。それが翔太の琴線に触れたようでハンドルをドンっと叩いた。

大きな音に驚いて顔を上げてしまい、眼が合う。


その眼はもう、怒りに燃えていなかった。