「帰り、……たく、て」



翔太の眼を合わせられなくて掴まれた右手を見ながら細々と答えた。



「あぁん?」



声を荒げられ腕を振り上げられ、反動でどうしても向き合う方になったあたしは驚きと痛みで反射的にあたしより高い翔太を見上げた。



「んで、帰んだよ」

「だ、だって……。家」

「…………」

「…………」

「はあ、わかった」



静かな攻防、いやあたしは翔太の鋭い眼に攻められるばかりで押されていたけれど、深いため息をついて諦めたように力を解いた。