なんで、あたしは泣きそうになってるのよ。
どうして、どうして。

翔太のどの姿に、何に。


……早く、帰ろう。



ゆっくりと立ち上がり放られた自分の荷物を持ち上げる。
そのままキッチンを通り過ぎようとすれば腕を取られた。



「真知」

「な、なに……」

「………」



睨まれる眼に身体が竦み上がる。

また、また。
泣きそうになる。



「どこに行く気だ」



掴まれた右手が熱い。