「翔太なんてきらいなんだから、だいきらい」



高速にのり、流れ出した風景をただ眼に映しながらぽつりと呟いた。


あのキスから、
あの畦道から、

いったいどれだけの時間が経ったんだろう。
何も考えられなくなった頭はうまく働いてくれない。

ただ、その一言を言わなきゃ、と思った。




あんなキス、今までしなかったくせに。

まだ残る感触にあたしは戸惑うばかり。


昔から自分に手に入れられないものはない、と豪語するほど偉そうで。
きらいだった。

田舎にそぐわない容姿に性格。
都会に出ていけ、なんてずっと思っていたのに先に出ていったのはあたしだ。



「真知」

「………」

「真知」

「………なに、」

「なんて、言えばいい」