どこかから薫ってきた芳しい花の香りの元を見つけてしまった。

よくテレビであるような。
大きな花束を贈呈する。


お願いしますと言われたからには分かりましたと頷くしかない。
恥ずかしいなんて言ってられない。


ありがとうございます、と彼女は頭を下げて隣に座った。



「タイミングは私が教えますので。そのときになったらこれをもってあの階段を登って渡してください」



目を向けるとスタッフが簡単な台をステージに向けて2段置いてくれていた。
するとまた急に絶えずフラッシュがたかれて視界が眩しい。



「出てきましたよ」



彼女が言うように舞台袖からさっき控え室での翔太がそのままでそこにいた。