都さんに案内されて2つ空いた席の片方に着く。彼女があたしに一礼したからお礼をこめてあたしも立ち上がって頭を下げた。

彼女が帰ってからもう一度腰を下ろそうと思ったのだけど、中々帰ってくれないからあたしは仕方なく席に着いた。それを見届けた彼女は一つ笑みを落として身を翻した。


背中を見ていると足元を照らして淡い橙が徐々に薄くなって消えてしまった。
まるであたしが席に着いたのを確認していたようなタイミングのよさで驚いた。



まさかね、これも翔太の指示だったりするのかしら。
……一個人のためにそんなことはないでしょうね。タイミングよく案内したってことでしょうね。



ライトと言うライトが全て消されて、残ったのは中央のステージを取り巻く白い沢山の電球。

もう、人の声は聞こえなくて全員がステージに視線を注いでいるって確信できた。