シャコシャコ歯磨きながら洗面台へといくユーマ
オフモードの日常を見てるみたいで、自然と口角が上がってしまう

貸してくれたTシャツに着替えて、ベッドに潜るとふと思い出した

あれ?さっきベッド使ってって言われたけど、私がベッドで寝る場合ユーマはどこで寝るのだろう…

布団を閉まっていそうなクローゼットらしきものもなければ、そもそも布団を敷くスペースもない


横を見ると…

やっぱり!

堅そうなソファに寝転がってる家主


胸が締め付けられる

これまで、酔って連れて帰られたら、多少の警戒はしないといけなかった
男の子が何を考えてるかわかるから
断る技術も身につけた
期待する男の子にやんわり拒否ることも覚えた


元カノのことどれだけ大事にしていたか、私は知ってる
男女の間の関係について、テキトーじゃないことなこともわかってる
でも、男の子なのは変わらない

いくらユーマでも…
そう思った

それなのについてきたのは…


でも、ユーマはそんなこと頭になかった
何も聞かず、自分はソファに行く

私の方、見もしない



2つの感情が混ざった


私のことをテキトーに扱わない嬉しさ
優しさに対する確かな確信
単純に心配してくれたから、一人で帰らせなかったって思い知らされる

そして、微かな悔しさ
胸の片隅に、不安と共に込み上がってきた
私に女として期待してなかった?
無防備に酔っ払って、ぶかぶかのTシャツ、同じ部屋で寝てて
何も感じないの?

その方がいいのは当然
でも、手出してくる素振りがまるでないから


「そこで寝るの?」
ユーマの背中に問いかける

「うん」

「硬くない?」

「んー大丈夫だよ」

矛盾する感情が疼く



「…くる?」