キュウ…

「ありがと…」

ニッと笑った顔が眩しい

なにも問わず向かうのは君の家
当たり前のように付いていく

私が終電もないのはユーマも把握済みだろう


出会った時からそう

何も考えずに泊めてくれるから

心の中で、密かにに喜ぶ
こうしてまた、君との時間が増える嬉しさ
気づかれないように、静かに、小さく跳ねる


そのうち君がこぼした
忘れられない気持ち

元カノさんへの未練
心に残る思い出
染み付いている寂しさや悲しさ
涙の意味を

家についた時には、もう我慢できなかった
私は大人しく聞いているだけ
君の心の中の彼女に対する愛しさ
寂しさ、虚しさ
痛いほど伝わってきた

ねえユーマ、その言葉は、私がユーマを思う時と同じなんだ
君のその彼女へと同じ想いを、私はあなたに抱いている
苦しくて、痛いほど

でも、そんなこと、君は考えもしないだろう

一方通行の想い
私から君へ、君から彼女へ、彼女から他の誰かへ
君は、その彼女しか見えていない


今横にいるのは私なのに
「俺、マリたちが辛い時側にいてくれたから、おかげでだいぶ助かってるよ」
さっき言ってたよね
そうだよ、泣きそうな時、支えたくてそばにいた

これからも

一番苦しい時、辛い時、誰を呼ぶ?
誰に電話する?
誰に助けを求める?


最初の頃より遥かに近づけた私と君の距離
まだ足りない?

募る不安
元カノさんのこと私に話してくれる
男性は本能的に、心を許した相手にしか自分の弱みを見せない
つまりこれは、私に心を許している証拠
嬉しいよ
でも君は私のこと、意識すらしてる?



暗闇の部屋の中、君に問いた
辛い、誰かに甘えたいと訴えた君に





「私じゃ…ダメ?」