その表情、仕草、景色の全てを私の記憶に焼き付ける

たまに錯覚してしまうんだよ
君にとっても、私は特別なんじゃないかって


気付いたら空のワインボトルが2本

頭がクラクラする

「もうダメェ〜?
雑魚かよぉ〜」

「ユーマだってヤバしょ…!」

「俺ぁ今日も休日出勤で疲れれんだょ」

「私だって昨日まで!がんばったもーん!にゃ!」

「にゃ!じゃねえーろ、ねこか!」

酔ってても回る思考回路
こんなにも仲良しなのに
私たちは友だち

『男女の友情って成り立つと思う?』
成り立つという人もいれば、成り立たないという人もいる

君は、どっち派?

いい感じに酔っ払ってると、店内には私たちだけになっていることに気づく

「出よ」

「さーせん、お会計お願いしあす」

店員さんが伝票を待ってくると、慣れた手つきでサッとカードを差し出すユーマ

「いくりゃ?」

「んーさあ、わかんにゃい」

ボトル2本も空けて、それなりに料理も頼んだ
安いわけがない
ただの友達なのに、女には払わせない姿勢

困っていると

「稼いでるからいーの!」

ポンっと頭に手を乗せた君は、フッと笑いながら言う

「でも…」

私、彼女でもなんでもないのに…

「大人しく奢られとけ」