真っ赤な壁
広いお風呂場
部屋の中央に置かれた大きなダブルベッド

部屋に入ると、まずベッドの上に座ったユーマの向かい側に私も座った

沈黙が続く

でもこれは、私が破っていいものじゃない

静かに、じっと待った


「彼女から…LINEがきて…今日の昼に…」


途切れ途切れ、ポツポツと少しずつ話し始めるユーマ

私の予想は的中
やはり、彼女に別れを告げられたらしい
ついさっき、会ってきたんだ

「…そんで、最後に『ミナミ、ありがとう』ってプレート渡してさ…そしたら彼女、泣いちゃって…」

別れを告げられたのに、そんなプレート…?
わざわざお店の人に頼んで?
『ありがとう』って、そりゃ泣くよ

そんな別れ方、フィクションでも聞いたことない

出会った時もそうだったね
やっぱりあなたは、愛した人を誰より大事にして、誰より幸せにしようとする
その優しさに、私は惚れたんだ

「おれ…」

彼の目に涙が浮かんでくる

あぁ私、この人が弱ってる姿に弱い
耐えられなくなった私は力一杯彼を抱きしめた
女の私がガタイの良い君に温もりをあげれるかなんてわからない
こんな時、なんて言葉をかけてあげればいいか
なにが正解か
わからないけど、でも