そんな大事なこと、マネージャー経験のある莉子なら理解していると思ってたのに…。


〈先輩たちは、俺たちのことを思って――〉

〈それがわかってないって言ってるの…!!〉


莉子の怒鳴り声に、言葉を失う。


…俺がなにをわかっていないって?

莉子こそ、野球部のなにを知ってるっていうんだ?


こんなに莉子と意見が合わなかったのは初めてで…。


莉子がなにを言いたいのか、俺にはまったく理解できなかった。


〈…莉子って、そんなこと言うようなヤツやったっけ〉


なんだか今電話しているのは、俺が知っている莉子じゃないように思えてきて――。


〈なんか、これ以上話しても無理そうやから、今日はもう切るな〉

〈…えっ。あ…大河――〉

〈じゃあな〉


俺は、一方的に電話を切った。

あのまま続けていたって、平行線のままだったことだろう。