それなのに、いきなりドタキャンなんて、到底莉子も納得できないことだろう。


だから俺は、顔が見えない莉子に、電話越しで何度も頭を下げた。


――すると、そのとき


「ねぇ、大河〜!まだ〜?」


電話をするから、あっちで待っててもらうように言っていたマネージャーの先輩が、俺が戻ってくるのが遅くてやってきた。


そして、早くとせがむように、服の袖を引っ張る。


「ちょっ…先輩!もうすぐ終わるんで、そんなに引っ張らないでください…!」

「だって、大河が遅いのが悪いんやから〜!せっかく早く終わったことやし、これから2人でどっか寄ってく?」

「なに言ってんすか!」


もうこうなってしまっては、莉子との電話どころじゃない…。


〈あ、ごめん…莉子。そうゆうことやし、電話切るなっ…〉

〈う…うん――〉