俺がそう告げると、一瞬無言の間が空いた。


〈…どういうこと?〉


そして、明らかにトーンの下がった莉子の声が聞こえる。


…そりゃ、そうなるよな。


〈実は、今からマネージャーの先輩を家まで送らなあかんことになって…〉

〈なんで大河が…?だって、大河には関係ないじゃんっ〉

〈それが…、送るはずやった3年生の先輩が急に用事があって先に帰らはって…。これもレギュラーの務めやって、その先輩にあとのことを頼まれてん〉


本当のことだったとしても、こんな言い訳、莉子には関係ない。

…関係ないけど、わかってもらわなければない。


〈先輩の頼みやから断われへんし…。ドタキャンで申し訳ないんやけど…、ほんまに…ごめんっ〉


練習がいつもより早く終わったとはいえ、莉子をカフェで待たせていたのは事実。