べつに、大河のことを好きじゃなくなったわけではない。

でも、完全にわたしよりも野球優先。


そうなることもわかっていたはずなのに――。


学校ではなかなか会えない。

土日は練習ばかり。

平日は、疲れてメッセージもこなかったり。


それに加えて、マネージャーの存在が気になる。


そんな毎日を過ごしていたら、『わたしって…彼女なんだよね?』と不安になってしまうのだ。



そんなある日。

友達と学校帰りに遊んで、そのあと1人で帰っていたときだ。


人混みの中に、知ったような顔を見かけた。


「悠!」


それは、この時間はまだ野球部の練習をしているはずの悠だった。


「…おお、莉子!」


わたしの声に、悠が振り返る。


「今日は?練習あるんじゃないの?」

「練習なら、さっき終わったとこ」