大河は、入学早々部活の練習。

わたしは、どの部活にも入るつもりはないから帰宅部。


せっかく同じ高校に入ったというのに、大河と過ごせる時間はほとんどなかった。


しかしそのかわりに、わたしには新しい友達がたくさんできた。

その友達たちと、学校帰りにプリクラを撮りに行ったり、甘い物を食べに行ったり。



〈でさ〜。駅前のカフェのパフェがめっちゃおいしかったの〜♪〉

〈俺が、吐きそうなくらいの練習してるときに、莉子はずいぶん楽しそうやな〉


電話越しから、トーンの低い大河の声が聞こえる。

なかなか野球部の練習がハードなようだ。


〈だって、しょうがないじゃんっ。わたし、放課後暇なんだし〉

〈初めは、野球部に入れへんくてうじうじ言ってたくせに〉

〈まあ、あのときはねっ。でも、試合のときはちゃんと応援行くからさ!〉