自室に戻るとまだ夕方だが、穂波は早めにベッドに横になった。
あの頭痛がする時。記憶、意識が、自分のものではなくなっていくような恐怖を感じる。
(椿さんのことを、思い出したい)
最初は少しずつ思い出していけたら良いなと思っていた。今は違う。日に日に、記憶を取り戻したいという想いが強くなる。
「穂波さん、今、大丈夫か?」
「椿さん」
横になってからしばらくすると、扉を叩く音と椿の声が聞こえてきた。穂波はゆっくりとベッドから身体を起こし扉を開く。
「体調が優れないと聞いた。大丈夫か?」
「心配をかけてすみません……大丈夫です」
そうかと椿は一息つくと、穂波の額に触れた。
「!?」
「熱はなさそうだな」
突然のことに、穂波は警戒する猫のように肩をぴしゃんと跳ねさせた。もともと熱なんてなかったのに。触れられたせいで逆に身体が熱くなってくる。
「昔の記憶について思い出そうとしたら、体調が悪くなったと花森が言っていたが」
「はい。椿さんと昔出会った記憶を思い出そうとして……」
「……もしかしたら穂波さんは、何かの念力にかかっているのかもしれない」
あの頭痛がする時。記憶、意識が、自分のものではなくなっていくような恐怖を感じる。
(椿さんのことを、思い出したい)
最初は少しずつ思い出していけたら良いなと思っていた。今は違う。日に日に、記憶を取り戻したいという想いが強くなる。
「穂波さん、今、大丈夫か?」
「椿さん」
横になってからしばらくすると、扉を叩く音と椿の声が聞こえてきた。穂波はゆっくりとベッドから身体を起こし扉を開く。
「体調が優れないと聞いた。大丈夫か?」
「心配をかけてすみません……大丈夫です」
そうかと椿は一息つくと、穂波の額に触れた。
「!?」
「熱はなさそうだな」
突然のことに、穂波は警戒する猫のように肩をぴしゃんと跳ねさせた。もともと熱なんてなかったのに。触れられたせいで逆に身体が熱くなってくる。
「昔の記憶について思い出そうとしたら、体調が悪くなったと花森が言っていたが」
「はい。椿さんと昔出会った記憶を思い出そうとして……」
「……もしかしたら穂波さんは、何かの念力にかかっているのかもしれない」