「椎菜さんの依頼は、除籍処分者たちから四片祭を守ることなのでしょうか」

 穂波の言葉に、椿はゆっくりと頷いた。

「そのようだ。人探しはよくある依頼だが……こんな大きな依頼に発展するとは思わなかったな」
「受けるの? 叔父様や、御意見番にも聞いて決めた方が良いんじゃ」

 御意見番……まだ穂波は会ったことはないが、氷宮に届く依頼や、一族内での取り決めなど、隈なく監査する係が居るらしい。

「いや、聞くまでもないだろう。鷹泉からの依頼だ。しかも政府や王室にも危害が及ぶかもしれない問題……引き受ける以外に選択肢はない」

 それから椿は穂波の方へと振り返ると、穂波さんはここまでだと告げた。

「次の依頼は、危険なものになる。椎菜さんからの依頼で気になるとは思うが……穂波さんには関わらないでほしい」

 椿の言う通り、気にはなる。初めて引き受けさせてもらった依頼の続きだ。

「承知しました」

 だが、椿の心配は痛いほどわかる。自分の念力が、次の依頼でどこまで役に立てるかもわからない。

 先程の倉庫で男たちと戦闘になった時……太刀打ちできないと思った。藤堂家でも評価されてきたのは戦闘に特化した念力ばかりだった。命の奪い合いの場では、自分の力はあまりにも弱い。