「どうしたんですか?? 二人揃って…」
あたしは平静を装って陸人さんに尋ねる。
すると陸人さんは優しい笑みを浮かべた。

「いや、舞香ちゃんにお礼、言いたかったんだ」
「え…お礼!?」
あたしは何のことか分からず、目をパチクリさせる。
その光景を見て、陸人さんはクスッと笑った。

「俺等、舞香ちゃんが居なかったらお互いの気持ち知らないままだったからさ」
「ありがとう、舞香ちゃんのおかげだよ」
陸人さんと詩織さんが、幸せそうな顔であたしに言う。

あぁ…そうか。
あたしは詩織さんの背中を押したことになってるんだ。

「い、いえっそんなの! めっそうもないです!」
今にも涙が溢れそうなのとは裏腹に、明るい声を無理して出す。