休み時間や放課後だと、誰かしらと鉢合わせる可能性があったから。

 だけどここでどうしても、栞を動かしたい。

 そう考えた時、頭の中にある考えが降って来た。

 ……理事長を少し、利用させてもらおう。

 俺の能力を使えば変声くらいいくらでもできるし、自然な流れになるはず。

 理事長と栞には申し訳ないけど、これも栞の正体を明かすため。

 だから少しの間だけ、利用されててね。



「確定、だね。」

 しばらく物陰で待っていると思っていた通り、栞が空き教室へと入っていった。

 その後すぐに魔力が使われた形跡を察し、自分の予想が外れていなかった事を確認する。

 本当に神菜かどうかは分からないけど、栞が魔力を持っているのはこれで確定した。

 ……こんな近くに、とんでもない人がいたとはね。

 この国での魔術師は元宮神菜しかいないから、栞は元宮神菜だと断言しても良いはず。

 まぁ……心配だからカマかけてみようかな。

 栞は抜けているところがあるから、俺のはったりにもすぐに引っかかってくれるだろう。