「えっ……?」

 そんな皐月君の言葉が聞こえた瞬間、可愛らしいリップ音が辺りに響いた。

 右手首に柔らかい感触が走って、頭の中が一気に真っ白になる。

 …………へ?

 何が起こっているのか分からず、ぱちぱちと瞬きを繰り返した。

 でも皐月君は、驚いて固まっている私を見ながら柔らかく不敵な笑みを浮かべている。

「僕は先輩のこと、真剣なんです。だからこれだけは大目に見てくださいね。」

 し、真剣って……まさか、皐月君っ……!

 さっきの言葉とキスの意味も踏まえて考えてみると、自然とある結論に辿り着いた。

 その様子の私を見て、皐月君はこれでもかと嬉しそうに頬を綻ばせている。

「僕の気持ち、鈍感な先輩にも気付いたみたいですね。先輩のこと、僕は誰よりも好きですから。」

「……っ!」

 す、好きってやっぱり、そ、そういう、こと……なんだよね……?

 改めてその言葉の意味を理解して、みるみるうちに顔が真っ赤になっていく。

 だけど何故か、皐月君には失礼だけど……素直に受け止められない。