ベッドに連行されて、静かに腰を下ろす。

 皐月君は近くの椅子に座って、心配そうに私を見つめていた。

 だけど私も、心配な事があるんだよね……。

「皐月君、授業中だから早く戻ったほうが良いんじゃ……?」

 どうしてあそこに皐月君がいるのかも気になるけど、一番の気がかりはその事。

 今は授業中だから、授業に参加したほうが良いと思うんだけど……。

 小さな声で尋ねてみると、皐月君はすぐに左右に首を振った。

「いえ、先生には言ってあるので大丈夫です。僕は保健委員でもあるので、先生が来るまで僕が先輩のこと見てますね。先輩、目を離したら何するか分からないですから。」

「あはは……た、多分大丈夫だと思うけど……」

「球技大会の時、頑張りすぎて風邪で倒れたのに何を言ってるんですか。」

 うっ……そう言われると何も言い返せない……。

 皐月君にも風邪の事が伝わってるんだと思うと不思議な気持ちだったけど、皐月君の正論に何も言えなかった。

 どっちにしても、皐月君の言う通りだし……。

 だからこれ以上何を言ってもダメだと悟った私は、静かに大きく息を吐いた。