でも、どうしてこんな急に……?

 最近は魔術を使ってないから光ることなんてないのに、体のだるさは酷くなる一方。

 まるで、魔力が取られているような……。

 と、とりあえず落ち着こうっ……。

 黄色信号を消す為に、私は大きく息を吐いた。

 何回も深呼吸を繰り返し、呼吸をゆっくりと整える。

「ふぅ……とりあえずはこれで、良くなればいいけど……。」

 そうして次第に落ち着いてくると、ペンダントの石はいつもの透明に戻った。

 その事にほっと胸を撫でおろしつつ、体をぐいっと無理やり起こす。

 さっきよりもだるさがなくなっているから、授業には頑張ったら戻れそうかも……。

「ごめんなさい、先輩。先生今、手が離せないらしくて……。」

 保健室を出ようとベッドから立ち上がろうとした時、ガラッと不意に保健室の扉が開いた。

 そこから心配そうに眉の端を下げている皐月君が姿を見せ、こっちに歩み寄ってくれる。

「そうなんだね。だけど私、大分回復してきたから授業に戻ろうかな。」

 あははと空笑いを浮かべて、皐月君の傍を通り過ぎようとする。