何でこんなところに皐月君が……?

 だけど疑問が脳裏をよぎった瞬間、おもむろに手を握られた。

 へっ……?

 驚いて呆気に取られていると、皐月君が真剣な表情でこう言ってきた。

「先輩、めちゃくちゃ顔色悪いですよっ!?保健室行きましょうっ!」

「あ……う、うん……。」

 強めに握られた手から、どれくらい皐月君が心配してくれているのかが伝わる。

 後輩にこんな姿見せることになるなんて、私って間抜け以外の何者でもないかもしれない。

 後輩にはかっこいいところ見せたいって思うのが先輩の性だから、なんだか恥ずかしくなってしまう。

 でも頭が上手く回ってないせいで、そんな事もまともに考えることができない。

 そのまま皐月君に引っ張ってもらうようにして、結局保健室まで連れて行ってもらった。



 保健室内に着いたけど、先生は不在なのかいなかった。

「あちゃ、先生職員室かな……。先輩、奥のベッドに座っててください。僕、先生呼んできます。」

「あ、ありがとう……。」

 皐月君は私にそう言い放ってから、保健室の扉をゆっくりと閉めた。