だけどその前に、くいっと小さな力で袖を引っ張られてしまった。

「栞、早く戻ってきてね?」

 可愛らしく首を傾げてこっちを見てくる明李君。

 捨てられたわんちゃんみたいに泣きそうな顔をしていて、うっと息が詰まる。

 でもすぐに顔を綻ばせて、大きく縦に頷いた。

「が、頑張るねっ……!」

 天さんのことだから早く帰してくれるとは思わないけど、できるだけ頑張ろうっ。

 心の中でひっそりそんな決意をしながら、私は天さんたちについていった。



 生徒会のお話って、急遽来た仕事だったんだ……。

 昨日の帰り際に来てしまった仕事があったらしく、都真君や世妖さんも生徒会室に来ていた。

 ふぅ……流石に朝からパソコン使ってると、頭が痛くなってしまう。

 後で薬でも飲んでおこうっ。

 そう考えながら、しーんと静かになっている廊下を歩いて教室へと戻る。

 結構仕事がかかってしまったから、今はホームルームの直前。

 そのせいで廊下には人がいなくて、私は向かう足をもっと急がせた。

 でもその時、何故かぐらっと視界が揺れる感覚に陥った。