「栞ー?いるー?」

 夕弥さん……?

 向こう側から私を呼ぶ夕弥さんの声が聞こえて、立とうと体を動かす。

 だけど抱きしめられている為、全くびくともしない。

 ど、どうすればっ……。

「明李君、離して……」

「明李、栞のこと離すなよ。」

 離してもらおうとしたのに、どうしてか疾風君がそう口にした。

 そのおかげで、さっきよりも明李君の力が強くなってしまった。

 ど、どうしてっ……!?

「あはは、僕ってそんなに警戒されてるの?悲しいなぁ。」

「天さんもいたんですかっ?」

「栞、それは結構傷つくよ?」

 苦笑いを浮かべながらこっちに近づいてきたのは天さんで、後ろには若干不機嫌そうにしている夕弥さんが。

 二人がここに来るのって、もしかして生徒会の事……?

 そんな可能性が頭の中に浮かび、声を発そうと口を開く。

 でもそれよりも先に、私の耳には大きな黄色い悲鳴が届いた。

「天会長がどうしてここにっ!?」

「夕弥様もいるんだけど!?めちゃくちゃ尊いっ……。」

「こんなところに用って、もしかしなくても柊木さんだよね?」