そこでいつも通り、明李君は私にぎゅうっと抱き着いてきた。

 で、でもいつもよりも力が強いような……?

 これまでも力強く抱き着かれたことはあっても、これほどまでじゃない。

 バッグハグの状態で抱きしめられ、準備が整った後は腕もろともぎゅっとされてしまった。

 完全に身動きが取れなくなり、椅子に座ったまま明李君に声をかけてみる。

「あ、明李君……これじゃあ何もできないんだけど……」

「じゃあ何もしなくていいんじゃない?……栞は僕のなんだから。」

 ……っ!?

 明李君がいつもと全然違う人になってるっ……!?

 姿形は完全に明李君だけど、声がいつもよりも低くて男の人って感じのもの。

 明李君は毎日のように「栞は僕のもの!」と言ってるけど、それは可愛らしい声のまま。

 今は状況が違うし、声がいつものじゃない事もあって変にドキドキしてしまう。

 こ、こんな人だったっけ……明李君って……。

 そんな疑問を抱きながらも、流石に離してほしくて説得しようと口を開く。

 でもそれと同時に、教室の外からこんな声が飛んできた。