「とりあえず、おかけになってください」
 諭されるように健は控え室の椅子に座って、バンザイ先生と向かい合う。バンザイ先生を改めて正面から見ると、整った顔をしている。

「このバチェラー部の歴史についてお話したいのです」

「歴史……」
「Amazonプライムビデオという動画配信サービスにおいて、『バチェラー』という番組が配信されているのはご存知でしょうか?」
「はい。一通りみました……」
「それなら話が早いです。実は本校におけるバチェラー部は十年前に始まりました。実は流行りに乗って始めたわけではないのです」
 バンザイ先生はテーブルに置いてあるお茶をすする。

「バチェラーは、複数の女性が一人の男性を取り合う恋愛ドキュメンタリーです。倫理的に考えると、ギリギリの内容です。海外では放送できない性的な事件や放送後に出演者が自殺するなどの事件も起きています。しかし、日本においては違いました。日本人の倫理観の高さから恋愛リアリティショーとして認知され、バチェラーは広く楽しまれるようになりました」
 健はバンザイ先生の話にゆっくりと頷く。

「本校でバチェラー部が始まったのは十年前。きっかけは一人の男子高校生でした。彼は見た目は淡麗で名家育ち。勉強もできてスポーツ万能。彼に憧れる女性はたくさんおり、ファンクラブができるくらい女性から人気がありました。そのため女性から告白されることも少なくありませんでしたが、彼は全て断っていました。理由は、彼に想っている女性がいたからです。しかし、奥手だった彼は自分の気持ちを伝えることができませんでした。それを見かねたある教師がバチェラー部を創設し、彼をバチェラーとして選び、参加者を募ったのです。参加者の一人に彼の想う女性がいました。彼は後から知るのですが、彼女は彼の想いを知る友人に無理やり参加させられたそうです。バチェラーを通じて彼は、相手を思いやる気持ちや、自分の気持ちを伝えることの大切さ、そして、本当の愛を知ることになったのです」

「二人はどうなったんですか?」
「めでたく結ばれました」
「よかった」
「しかし、二人にはある試練が待ち受けていました。それは、彼女の病気です」
 笑顔だった健の眉間に皺がより、真剣な表情に変わる。

「彼女は若年性の癌だったのです。わかった時には全身に転移しており、余命は高校卒業するまでと宣告されました。彼は彼女のことを心から愛しました。そして、十八歳になり結婚しましたが、卒業式の翌日、彼女は亡くなりました。彼女は亡くなる間際に言いました。私は十八歳なのに本当の愛を知ることができた。とても幸せだったと」

 バンザイ先生の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「高校生が『バチェラー』を行うことには倫理的に問題があると思います。しかし、本校では十分な大人の監視のもと、必要な場合には注意を促せば問題がないと判断しました。それからバチェラー部は正式に部活動として認められたのです」

「あの……。初代バチェラーはいま何をしているのですか?」

「彼はバチェラー部を認めてくれた先生に憧れ、教師になろうと決意するのです。そして、母校に戻ってきてバチェラー部の顧問として生徒の恋愛を見守る立場となったのです」
「ということは、やっぱりバンザイ先生が……」

「そうです。私が初代バチェラーです。そして、私の尊敬する先生は、校長先生です」

「そうだったんですね」
 健は天を仰いだ。

「バンザイ先生、あと、ひとつ質問をして良いでしょうか?」
「なんでしょう?」

「父とはどういう関係なのでしょうか?」

「大学の先輩、後輩です。景行さんは卒業後も大学の研究室で教育情報学について共同研究を行っていたので、仲良くさせていただいています」
「そうだったのですか」

「そして、もう一つ大事なことをお伝えしなければなりません。私は緑川翡翠(みどりかわひすい)の兄です」

「えぇ!!!」
 健は驚きのあまり、一歩後ずさった。
「妹はよくご存知でしょう」
「はい……。以前、お付き合いさせていただいていたので。その節はお世話になりました」
「とんでもない。こちらこそ、妹がお世話になりました」
 二人は深々と頭を下げる。

「両親が離婚し、私は父方に、妹は母方につきました。私の苗字は父と同じ板西、妹は母方の緑川。苗字は違えど、血の繋がった兄妹なのです」
「そうでしたか。なんだか複雑な気持ちです。翡翠さんはお元気ですか?」
「えぇ。妹は景行さんの会社でお世話になったあとアメリカで独立し、シリコンバレーで元気にAIの研究に打ちこんでいます。バチェラーもAIには精通しているはずですから、噂は聞いているでしょう?」
「えぇ、すごい活躍をしているというのは知っています」
「また機会がありましたら、妹と会ってあげてください。きっと喜ぶと思います」
「はい……」
「それでは、長話となってしまいましたが、バチェラーも残りわずかです。悔いのないように過ごしてください」
「わかりました」
 バンザイ先生は右手を差し出し、健も手を出すと、お互いが強く握った。





 美園との最後のデートの待ち合わせは学校の校門でバレー部のユニホーム姿で立っていた。
「おはよ」
「おはよう」
「最後のデートは私が一番輝いている姿を見て欲しくて学校に来てもらったの。今日は紅白戦があって、出場するから応援して欲しい」
「わかった」
「今日の紅白戦は一、二年生対三年生。秋に新人戦が行われるから、その壮行試合みたいな意味合いなの。私はレフトで出場する。いわゆるエースのポジション。三年生チームは大山先輩が私を全力で潰しにくるはず。でもね、私負けない。三年生から、大山先輩から、点を取ってやるんだから。見てて」
 健は大きくうなずいて、カバンからタッパーを取り出した。

「美園を応援したくて、はちみつレモンを作ってきたんだ」
「えっ、やだっ。嬉しい。ダメ、泣きそう。今から試合だっていうのに。ダメダメ」
 美園は目尻を拭った。

「食べてもいい?」
「もちろん」
 美園はタッパーを開けてスライスされたレモンを一枚つまみ口に入れる。

「すっぱい。でも、美味しい。あー、すっごい元気出る。これで絶対勝てる」
「あと、これもね」
 健はローズの刺繍がされた青いお守りを目の前に出した。

「私もちゃんと持ってるよ」
 美園は赤いお守りをポケットから出して健に見せた。
「ちょっと貸して」
 健は美園の赤いお守りを手に取ると、自分の額にあてた。
「美園が全力を出せますように」
 健は思いを込めるように念じたお守りを美園に返した。
「これで頑張れそう」
 美園は拳を握った。

「じゃあ、行ってくる!」
「いってらっしゃい!」
 健は美園とハイタッチして送り出した。



 体育館は二階に観戦をするスペースがあり、パイプ椅子が並んでいる。健は空いている席に座り、応援することにした。
 プライム高校においてバレー部は花形の一つで、健以外にも応援をしにきている生徒が多くいる。
「美園! 頑張って!」
 健の前に座る二人の女子学生の声援に美園は手を振って答えた。

 試合が始まると、美園は宣言通り、レフトのポジションで出場し点数を重ねていった。一、二年生チームは25-18と25-19で二セットを先取し、三年生チームの選手が二人入れ替わった。それをきっかけに、三年生チームは15-25と16-25で二セットを取り返した。

 残るは最後の五セット目。ついに大山恵がコートに入った。
「でた、プリンセスめぐ。オーラすごい」
「もうプロチームの練習に参加しているらしいよ」
「一、二年生はもう勝てないじゃん」
 あたりは急にざわつき始めた。健はお守りをポケットから取り出し、握りしめる。
 最終セットは一、二年生からのサーブで始まった。サーブの落下点にリベロが待ち受け、柔らかくセッターに上がる。セッターは大山にトスし大山は強烈なスパイクを叩き込んだ。
「あー、あれは取れないわ」
「やっぱり、格が違うよね」
 メンバーを入れ替えた三年生チームは、健が見ても力の差は明らかで、大山恵はその中でも群を抜いていた。すぐに0-8となり、タイムアウトになった。
「8点ぜんぶめぐの得点じゃない」
「止められるまで、めぐに上げるんじゃない?」
「絶対そう。でも、あんなの止められないよ」
 一、二年生チームの選手はタイムアウトでベンチに集まるも、がっくりと頭を下げていた。

「ほら、みんな! 顔をあげて!」

 美園が手を叩いた。
「みんな、次の一本は私が決める。だからお願い。私を信じて繋げて欲しいの」
 チームメイトは美園を見つめ、大きく頷いた。
「絶対一点とるよ」
「意地みせよう」
「せい! おー!」
 一、二年生は円陣を組んで気合を入れ直した。
 美園のポジションはレフト。目の前には大山恵が立ちはだかっている。
 三年生チームの打ち込んだ無回転サーブは、大きな変化は出ずに、リベロの目の前に流れ、リベロは丁寧にセッターの頭上にレシーブし、セッターは美園に最高のボールが上げた。

「美園!」
 レフトの美園は助走を付け、大きなモーションでスパイクを打ち込んだ。
 バチン!
 大きな音ともに大山のブロックに跳ね返され、ボールは頭上に上がる。跳ね返されたボールをリベロがすくい、セッターに返す。
「ミー!」
 ミーはBクイックの合図だ。美園はクイックのタイミングで飛びあがり、ボールを打ち込む。しかし、大山がまたしてもブロックし、頭上にボールが上がる。そして、ボールの落下点にセッターが移動する。
「園!」
 園はブロード攻撃の合図だ。美園はセッターの後ろを抜け、ライトに駆ける。そして、上がったボールに合わせてライトから打ち込んだ。大山恵は美園のブロードに反応が遅れブロックが追いつかず、ボールはコートに突き刺さった。
「やったぁ!」
 一、二年生チームはハイタッチで喜ぶ。美園は健の方向を向いてニコッと笑い、健も思わず席を立ち上がり、ガッツポーズをしていた。
 その後、一、二年生チームは勢いに乗り、5点を連取し5-8に持ち込むと、たまらず三年生チームがタイムアウトを取った。タイムアウトでは美園は健の作ったはちみつレモンをみんなに振る舞う。そして、改めて円陣を組んだ。
「最後まで諦めないよ! いくよ! 最大集中! せい! おー!」
 それから、あっという間に10点を取られ、美園が3点を取り返したが8-15で負けた。
「ありがとうございました!」
 美園はベンチでがっくりと肩を落としていた。そこへ大山が歩み寄り、肩を叩いて何かを言って去って行った。



 健は校門で美園を待っていた。バレー部員が校門を出ていく。健に気がつくと「お疲れ様でした」と大きな声で挨拶をし、健も応えるように「お疲れ様です」と頭を下げた。
「君が山戸健君だね」
 声に振り返ると大山恵が立っていた。

「山戸君、少しだけ時間をもらってもいいかな?」

「あっ、はい」
「美園のことなのだが……」
 大山恵は健よりも身長が高く、独特のオーラを放っており、緊張感が漂う。

「美園にバチェラー出場を勧めたのは私なんだ」
 健は頷く。
「美園はメンタルが弱かった。言い換えると優しすぎると言っても良い。それでは勝負の世界は生き抜けない。どうしたら良いか考えた時、バチェラーを見つけた。美園もバチェラーには興味があったみたいで、背中を押したら出場することになった。バチェラーでの美園についてはバンザイ先生から話を聞いた。周りにも気を使えるようになったし、自己主張も出来るようになって、精神的にとても強くなった。加えていま、本当の愛を手に入れようとしている。ここまで残ったことには驚いているが、美園の魅力がきちんと君に伝わった結果だと思っている。美園は本当に良い子だ。そして、美園と君なら良いカップルになると思う。だから、美園を選んで欲しい」
大山は深々と頭を下げた。

「いや、私が頼むものじゃないな。ただ、私は美園に幸せになって欲しいだけなんだ」
「大山先輩の気持ちはわかりました。美園さんはみんなからとても大切にされています。それは美園さんの人柄がそうさせているのだと思います」
「あっ、たける! それに大山先輩!」
 美園は二人に気付き、駆け寄ってきた。

「じゃあ、私は先に失礼するよ」
「あっ、先輩、帰っちゃうんですか?」
「あぁ。邪魔しちゃ悪いからな。またな」
 大山はスタスタと逃げるように校門を出て行った。

「美園、試合お疲れ様」
 健は美園にペットボトルのスポーツドリンクを渡した。
「ありがとう」
 美園はペットボトルを開けて一口飲んだ。
「負けちゃった」
「そうだね」
 あたりはすっかり暗くなっていた。校門を出てゆっくりと駅へ向かっていく。

「悔しいなぁ」
「やっぱり勝ちたかった?」
「もちろん。勝ちたくない試合はひとつもないよ」
「そうだよね」
「でも、大山先輩から点が取れたのは嬉しかった」
「大山先輩も美園のことを認めてるみたいよ」
「えっ、本当?」
「うん、さっき少し話をした」
「他に何を話した?」
「美園を選んで欲しいって言われた」
「先輩……」 

「試合の美園はかっこよかった。試合が終わってちょっと泣いた」

「えっ、嘘!? なんで?」
「美園のプレーに感動したから」
「そうなの?」
「すごく一生懸命だった。美園のプレーに心を打たれた」
「嬉しい。でも、それなら、なおさら勝ちたかったなぁ」
「じゃあ、次は勝とう」
「うん。でも、先輩はプロに行く。今日が高校でプレーをする最終日。だから、次はないの」

「じゃあ……。県大会で優勝しよう。それでリベンジにならないかな?」
「そうだね、県大会で優勝できれば今日のリベンジになるかも。そのかわり、絶対応援に来るって約束して」
「わかった。絶対応援に行く」

 美園は右手の小指を差し出した。
「ゆびきり」
 健も小指を差し出して繋いだ。
「ゆびきりげんまん嘘ついたらハリセンボンのーます。指切った」
 小指を離し、またゆっくりと歩き出す。
「たける。ひとつだけ言いたい事があるの。いま伝えてもいいかな?」
「うん」
 美園は歩を止めて健の目の前に立つ。



「私、たけるの事が好き。付き合ってください」



 美園は頭を下げて、右手を差し出した。健は一度、カメラのほうを向くと、カメラを持つ佐久間先生は首を横に振った。
「この答えは最後のローズセレモニーで伝えるよ」
「そうだよね」
 うつむく美園の手を取り、駅に向かって歩き始める。流行りの音楽の話とか、愛読書とか、学校で何をしてるかなど、他愛もない会話が続いた。
「なんか、普通の高校生カップルみたいだね」
 美園は健の横顔を見つめて言った。
「バチェラーの旅は煌びやかで別の世界に来たような感じだった。こうして普通に手を繋いで学校から帰るのはいつもの現実に戻ってきたみたい。この時間がずっと続けばいいのに」
 駅に着くと二人の乗る電車のホームは反対側になる。二人は階段の下で別れることにした。

「じゃあね、バイバイ」
 美園は手を振って踵を返すと、お互い別の階段を登って行った。健がホームに出ると、ちょうど美園が乗る電車がきて止まっていた。
「美園ともっと一緒にいたいな」
 健の独り言は虚しく消え、反対ホームの電車は去っていった。
「たける」
 美園の声がした気がして健が振り返ると、美園が立っていた。
「美園!」
「もっと一緒にいたいから、こっちにきちゃった」
 健は美園に走って近づくと、そのまま美園を抱きしめた。



「次の電車が来たら帰ろう」
 そう言って三回、電車を見逃している。夕焼けの赤い空は、すっかり夜空に変わってしまった。カメラを持つ佐久間先生は電車に乗るようカンペを出した。
「もう帰るね」
「次はローズセレモニーで」
「バイバイ」
 電車がやってきて、健が乗り込む。ホームに立つ美園は口をパクパクとし、声を出さずに何かを喋っているようだ。健はその口を凝視する。

『ス、キ』

 視線を口から目に映すと、美園はにっこりと微笑み手を振った。
「バ、イ、バ、イ。ま、た、ね」
 美園は口パクで言っていた。美園は健を乗せた電車をずっと見送っていた。









 みなとみらいにある結婚式場でみらいと健は待ち合わせをした。
「おはよう、みーちゃん」
「おはよう、たけちゃん。今日はここで写真を撮りたい」
 二人は結婚式場の中へ歩を進めていく。
「お待ちしておりました。山戸様ですね。こちらへどうぞ」
 入り口に立つスタッフに案内され、奥に進んでいく。
「みらい様はこちらです」
 みらいは女性スタッフとともに別の部屋に案内されていった。

「健様はこちらになります」
 健が案内された部屋は更衣室だった。そこでタキシードに着替えさせられ部屋を出る。
「こちらです」
 案内された場所には大きな扉があり、そこを開けるとチャペルだった。そして、その先には真っ白なウエディングドレス姿のみらいが待っていた。

「綺麗だ……」

 思わず言葉が漏れ出てしまった。健はみらいの元にゆっくりと近づいていく。
「たけちゃん、かっこいいね」
「みーちゃんも綺麗だよ」
 二人は黙って見つめ合う。

「わたしね、たけちゃんと付き合うことになったら、結婚すると思う。根拠はないけど、自信はある。もう過去は振り返らない。これからは未来に向かって歩んで行きたいの」
 みらいは正面をじっと見つめる。

「結婚式の練習してみる?」
「うん」
 健はうなずくと、みらいは手にしていたメモを読み上げる。

「山戸健さん、あなたは今、湊みらいさんを妻とし、夫婦になろうとしています。汝、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときもこれを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい」
 みらいはメモを健に渡す。そこには健のセリフと書かれていた。
「湊みらいさん あなたは今、山戸健さんを夫とし、夫婦になろうとしています。汝、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい。誓います」
 二人は手に手を取り合って、お互いを見つめた。どこからか現れたカメラマンは二人の周りで写真を撮っていく。
「山戸様、ありがとうございました。写真が撮れましたので、控え室へ」
「じゃあ、あとでね」
 二人はスタッフに案内されるまま控え室に向かっていった。控え室で普段着に戻ると、併設のカフェで落ち合った。

「みて、今日のアルバムできたよ」
 みらいは白い表紙のアルバムを開く。
「あはは。やっぱりまだ早かったね。俺はタキシードに着られている」
「わたしもウエディングドレスがコスプレみたい」
 二人は写真をみて大笑いをした。
「さまになるのは、早くて五年後だね」
「その時に見比べてみるから、大切にとっておくよ」
 みらいは上目遣いで健をみつめた。
「じゃあ、今日はここまで。ここでバイバイしよう」
 みらいは結婚式場の入り口で健を見送った。