「じゃあ真凛ちゃん、また明日ね」
「うん。また明日ー!」
ニコッと可愛らしい笑みを浮かべて、教室を後にする季里に私も元気よく声をかける。
夏休みも終わり、高校は始業式を迎え早1週間が過ぎようとしていた。
9月に入り、少しは涼しくなるかと期待していたのだが、ここ数日の気温を見ていると秋はまだまだ先のよう。
そんな暑い日が続くなか、私、葉山真凛は本日1人で天文部の部室へと足をはこんでいた。
え?何で季里は来ないのかって…?
実は本日彼女、最近できたばかりの彼氏と放課後デートらしい。
朝からソワソワしている季里を見ていると、なんだかこっちまで心配になってくるのだから不思議だ。
最近、季里のこと手のかかる妹みたいに見えてきたのよね。
内心苦笑いを浮かべつつ、私は肩をすくめた。
しかも、季里の彼氏と言うのが…。
「久瀬先輩だもんなぁ…」
私としては、充希くん応援してたから若干、複雑な気持ちではあるのだけれど…。
『あのね、真凛ちゃん…。実は颯真くんと付き合うことになったの。もし、私に彼氏ができたら、女の子の友達で、1番最初に報告するのは真凛ちゃんって決めてたから』
そんな可愛いこと言うものだから「おめでとう…!」としか言えなかったのが正直なところ。