「季里ちゃん、ミズキちゃんと2人で買い物だったんだね。そしたら今日は私、邪魔になっちゃいそうだしご飯はまた今度…」
少し残念そうにそう言う遥奈先輩に申し訳なく感じつつも、内心ホッと安堵する。
長く一緒にいて充希くんの正体がバレても困るし、遥奈先輩には悪いけど今日のところはその方がありがたかった。
特に私がボロだしちゃいそうだし…。
しかし。
「それじゃ、遥奈さんも僕たちといっしょにどうです?」
…!?
そんな提案をしたのは紛れもなく充希くん本人から。
驚く私をよそに涼しい顔で笑みを浮かべている。
「え!?いいの…?嬉しい〜。ミズキちゃんありがとう」
「いえいえ。僕も季里の先輩とゆっくりお話してみたかったんで。季里もいいよね…?」
「う、うん。ミズキちゃんがいいなら…」
充希くんの発した最後の「ね…?」に妙な迫力を感じ、私はコクコクと首を縦に振った。
「じゃ、季里もいいみたいなんで遥奈さんも行きましょう。僕あっちの店も見たいんですよね〜」
「うん!付き合うよ〜」
ズルズルと充希くんに引きずられるように歩く私と、その隣を楽しそうに歩く遥奈先輩。
この組み合わせ、不安しかないんだけど…。
心の中で小さくつぶやき、私は二人に気づかれないように肩を落としたのだった。