そりゃ、かなわないよ。

颯真くんが本当に悩んでいる時に近くで支えてくれてたのが…遥奈先輩なんだもん。

「そっか〜遥奈先輩なんだ。本当に良い人だもんね…!」

少しおどけた調子で、颯真くんに声をかけてみる。

「…まぁな。だいぶおせっかいなところあるけど」

クスッと思い出し笑いをする颯真くんに、内心胸がズキッと痛んだ。

「心音ちゃんもさっき遥奈先輩のこと話してたし…昔から仲良しなんだね!」

「あぁ、先輩が中学の時はよく心音と遊んでくれてたから」

「…そっか!先輩小さい子にモテそうだもんな〜」

その後、しばらくポツポツと昔の思い出話に花を咲かせながら颯真くんは私を家まで送ってくれる。

話していると時間はあっという間。

気づけば、『フレーズ・デ・ボワ』の前に到着していた。

時間もだいぶ遅くなってるから店の前にはCLOSEの看板がかかり、カーテンもすでに閉まっている。