――ガヤガヤ。
騒がしい店内からは、楽しそうな話し声や笑い声が聞こえてくる。
僕は、そんな声を尻目にカウンター近くの席にゆっくりと、腰を下ろした。
「あ!充希くんの分のご飯ついでくる。多めがいいよね?」
そう言って、僕に優しげに声をかけるのは、堀田季里。
僕より1つ年上の高校1年生…だが、正直その幼い見た目からは、あまり年上という感じがしない。
なんでも、母親の友人である玲子おばさんの知り合いで、こっちの高校進学が決まり、下宿先を探していた彼女。
『え!玲子の知り合いなら大歓迎だよ〜しかも、女の子とか嬉しいなぁ。うち、息子しかいないし』
玲子おばさんから連絡をもらった時、母親の嬉しそうな声が、リビングから聞こえてきたのを思い出す。